40. BGMのかわる頃

仮令吐く息の白くなろうと例によって行き付けの書肆にていつもの如く立ち読みのはなまるが不図気付けばつい此間まぢゃ赤と緑と金銀の入れ替わり立ち代り散ら突く様なクリスマスソングの喧しさに周りの衆も浮き浮きとしていたなぁ今や、やけにしっとり落ち着く様な此れ等の曲々は和の調べに満ちた鳴る鐘とても黄金色から青銅色の重みを増して、其れも其の筈、お正月ソングの代わる代わるのメドレーと来たもんだ。

遠ち近ち見渡しゃぁ陳列棚の彼方も此方も本邦の伝統、欠かしちゃならねぇ欠けちゃ寂しい、年賀状の書籍許りなるは暫く前からのこととても見飽きるが過ぎ目にも入らねぇ程に頭の中で薄まりゃぁ、改めて予ねて用意のアイデアを急ぎ形にせねばならぬとて家路に付いた跳ねて飛んでの道中は朧気に消え掛かる図柄ぁ判然と脳裏に呼び覚ますにゃぁ丁度好い刺激だぁな。

思い描いた次年の干支の芋判彫って墨磨って、重ねた葉書ぃ次から次へと捻り鉢巻、大急ぎ、頃日の冷え込みもものともしねぇ汗ぇ掻きかき最高速度で処理ゃぁ良いがぁ、年末まで放ったらかしにて大つごもりの駆け込み乗車てぇのは毎年のこって今年に限ったこっちゃぁねぇが、扨も少しゃぁ何とかならねぇもんかぃ？ほらほら焦って来年の年数間違えんぢゃねぇよ！