

婆ちゃんが掛かり付けの医者に薬ぃ頼んであるから取りに行って来てくんなてんでぇ、はなまるにとっても毎度お馴染みの医院までお出掛けだ。


大病院に較べりゃぁ街医者なんてなもんは其程症状の重ぇ患者が居る訳でも無ぇから辛気臭ぇて程ぢゃねぇんだが、それでも病は気からてぇこって根が単純なオイラなんざぁ釣られて手前ぇ迄病気んなっちまぅ心持がすっからね、あんまり気の進むもんぢゃねぇや、なんてな事ぉ徒然考え乍いつもの道ぃ医院の前迄来ちみると、いつもたぁちぃっと調子が異なるよぅで、医院の敷地内で建物を囲む様に付設されてる専用の駐車場にゃ車が停まっちゃねぇんだな、これが。


院内に足ぃ踏み入れりゃぁ此間来た時にゃぁあれだけごった返してた待合だてぇ誰も居やしねぇし、居酒屋みてぇに暖簾で判別付くってもんでもねぇから、思わず本日休業かぃ?てぇ思っちまったはなまるさ。


それこそ寒さの抜ける春先まぢゃぁ風邪やインフルエンザ、桜の咲く頃ぁ花粉症なんぞで大賑いの医者も、然しもの梅雨前の晩春から初夏に架けての過ごし易いこの時期にゃ閑古鳥が鳴いてらぁってこって、薬の準備が出来る迄待合室でいつもみてぇに何かぁ移されんぢゃねぇかてぇ不安もなく、間も無く看護婦さんから薬ぃ拝受してちょぃと拍子抜けのはなまるぁ、帰ぇる道々お医者様にゃぁ悪りぃが、人類皆健康ってこって善哉、善哉てぇ寿いだってこった。